担当編集者・工藤による「ビリギャル」誕生の秘密!
「ビリギャル」はどのようにして生まれたのか?
その秘密を実際に編集を手がけた、工藤裕一編集長が語ります。
▲KADOKAWA アスキー・メディアワークスBC
第7編集局 第2書籍編集部 工藤裕一編集長
――普段のお仕事は
第7編集局第2書籍編集部の編集長職です。
当編集部では、一般書、自己啓発書、語学書、翻訳書、児童書(角川つばさ文庫)
などを企画・編集・制作しています。
今回の「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」も、
一般読み物であり、かつ、自己啓発書でもある、という位置づけですね。
――「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」について
本書は、難しいことを考えなくても、ただただ笑えて、
数時間でさくっと読めて、スカっとできる娯楽作品となっています。
「海賊とよばれた男」や「奇跡のリンゴ」のような感動系ノンフィクションが好きな方には特にオススメです。
とはいえ、本書で世の中に強く訴えたいメッセージももちろん盛り込んであります。
それは、帯にも入れましたが、「ダメな人間などいません。
ただ、ダメな指導者がいるだけなのです」ということです。
「子どもや部下を変えたかったら、自分が変わること。本書で笑って楽しんだ後では、子どもも部下も指導層も、人生が変わりますよ」と言い換えてもいいでしょう。
本書で、世の中の気の毒な子どもたち、バカにされている人材、
自分をダメ人間だと思っている人たちの心や人生が、少しでも救われるといいな、と思います。
また本書は、ダメな指導者の方を断罪する本ではありません。
そうした方々に自信を喪失させる本ではありません。
むしろ、人材育成や指導に思い悩んでいる指導者の方や親御さんに、ポジティブになっていただく、
そしてそのための方法論を知っていただき、閉塞感を打破して頂くための本なんです。
人材育成に悩んでいる、自分はダメなんじゃないかと思っている指導的な立場におられる方が、
帯の文言にドキっとして、本を5分でも立ち読みしてくだされば、
すぐにポジティブな気分になれる、前向きになれる内容だと自負しております。
そして「指導法さえ変えれば、子どもも部下も伸びるんだな」
「なんだ、ちょっとしたコツを知れば良いだけだったんだね」
と必ず思っていただける1冊だと思っております。
自分の指導法、人材育成法に自信のある方にも、無い方にも、
きっとお役に立つ、温かい応援の一冊だと自負しております。
――今回、表に出てないエピソードがあれば
カバーモデルには石川恋(れん)さんという方を起用していますが、
高校生の時の主人公のギャル(さやかさん)は、恋さんに似た雰囲気を持っていたそうです。
さやかさんとそのご家族には、計3回、トータルで12時間の取材に応じていただきましたが、
「こんなバカでも、慶應に行けたことが皆さんの励みになるなら」とすごく献身的に、
ご自分達の「恥」とも言える部分をさらけだしてくださいました。
このご家族の献身的な御協力が、今回の本の内容を奥深く、印象的なものにするのには欠かせなかったと思います。
著者の坪田先生は、偏差値30のギャルさやかちゃんのやる気を引き出し、
能力を最大限まで引き出した方なわけですが、現在46歳の私も、坪田先生には能力を引き出されました。
ついつい、もう少しだけ頑張ろうかな、という気にさせるのがお上手なんですね。
Facebook上でチャットをしながら、毎朝8時、9時まで議論しながら内容を練りました。
46歳で、これは本来、キツイはずなんですが、
不思議と、文化祭前の準備をしている感じで、楽しく、充実していたんです。
坪田先生も、本作りを楽しいと思ってくださったようで、
この作業がずっと終わらないほうがいい、ともおっしゃっていました。
さやかさんもこんな感じで、1年半の受験勉強を乗り切ったんだろうな、と思わされました。
――編集者としてのこだわりは?
制作過程でのこだわりはいろいろありますが、自分が出した企画が、
1)これまでにない新しいものを提供できるのか。
2)世の中を少しでも良くできる作品か。
3)この本の出版で誰かを傷つけたりはしないか
――にはこだわっているつもりです。
あとは、実用書も、大事なのはストーリー性だということ。
小説家になろうと思って長年勉強してきたことが、自己啓発書や英語学習書を作る際にも活きています。
もちろん、角川つばさ文庫などの小説のディレクションにも役立っています。
私が手がけた『物語の法則』という翻訳書も、今回の本作りに大いに役立ちました。
同書は、作家/脚本家志望者だけでなく、映画や小説を深く理解したい方にもオススメの作品です。
工藤編集長ありがとうございました!